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複数サイトのデータを可視化・比較するLooker Studio無料版導入のすすめ

2025.05.15

マーケティング知識ノウハウ提供

複数サイトのデータを可視化・比較するLooker Studio無料版導入のすすめ

Webサイト運営やデジタルマーケティングの現場では、複数のサイトやサービスのデータを横断的に比較・分析したいケースが増えています。Googleの無料BIツール「Looker Studio」を活用すれば、Googleアナリティクス(GA4)やGoogle広告など複数のデータソースを一元管理し、直感的なダッシュボードで可視化・比較できます。

Looker Studioとは?無料版の特徴

Looker Studioの概要

Looker StudioはGoogleが提供する無料のBI(ビジネスインテリジェンス)ツールです。直感的な操作で、さまざまなデータソースから情報を取得し、グラフや表、ダッシュボードとして可視化できます。

無料版と有料版(Pro)の違い

Looker Studioは無料版と有料版(Pro)の2つのプランを提供しています。無料版は個人や中小規模の企業に最適なソリューションであり、驚くべきことにGoogleの主要サービスとの連携機能やレポート作成機能がほぼ制限なく利用できます。データの可視化や分析に必要な基本的な機能はすべて揃っているため、多くのユーザーにとっては無料版で十分事足りるでしょう。一方、有料版(Pro)は大規模組織向けに設計されており、企業レベルの要件に対応するための高度な権限管理システムや信頼性の高いSLAサポート、さらにはエンタープライズ環境での統合を容易にする追加機能が備わっています。組織の規模やデータ分析の複雑さに応じて、適切なプランを選択することが重要です。

Looker Studio無料版で利用できる主なデータソース

Google系サービスとの連携

Googleアナリティクス(GA4)

複数のGA4プロパティをデータソースとして接続し、サイトごとのアクセス解析データを一元管理できます。

Googleサーチコンソール

検索パフォーマンスやクエリ別の流入データも可視化可能。SEO施策の効果測定に最適です。

Google広告・YouTubeアナリティクス

広告運用や動画マーケティングの成果も同一ダッシュボードで比較できます。

Googleスプレッドシート・BigQuery

独自データや外部データもスプレッドシートやBigQuery経由で柔軟に取り込めます。

サードパーティコネクタについて

一部の外部サービス(例:Meta広告、Yahoo!広告など)は、サードパーティ製コネクタが必要な場合があります。Google系サービスは無料で利用可能です。

複数サイトのデータ比較・可視化の実践手順

複数のGA4プロパティをデータソースとして接続

Looker Studioで複数サイトのデータを可視化するための第一歩は、各サイトのGA4プロパティを個別のデータソースとして接続することです。まず、Looker Studioにログインし、新規ダッシュボードを作成します。画面右上の「データを追加」ボタンをクリックすると、利用可能なデータソースの一覧が表示されるので、ここからGA4を選択します。続いて、比較したい各サイトのGA4プロパティを順に追加していきます。この際、データソースに分かりやすい名前を付けておくと、後の作業がスムーズになるでしょう。すべてのプロパティを追加したら、サイトごとにグラフや表などのビジュアル要素を作成し、ユーザー数、セッション数、コンバージョン数といった主要な指標を並べて配置します。このようにして、一つの画面上で複数サイトのパフォーマンスを直感的に比較できる環境が整います。

サイト横断の比較指標の設計

効果的な複数サイト分析を実現するためには、サイト横断で共通化できる指標とディメンションを適切に設計することが不可欠です。まず、すべてのサイトで共通して測定できる基本指標—ユーザー数、セッション数、ページビュー数、直帰率などを基盤として設定します。さらに、流入元(オーガニック検索、直接訪問、リファラル、ソーシャルメディアなど)やデバイスカテゴリ(モバイル、デスクトップ、タブレット)といったディメンションでセグメント化することで、より深い洞察を得ることができます。一方で、サイトによって異なる固有の指標—例えば、ECサイトの場合は商品カテゴリ別売上、メディアサイトであれば記事ジャンル別滞在時間など—については、カスタムフィールドの作成やGoogleスプレッドシートとの連携を活用して補完します。このように、共通指標と固有指標を巧みに組み合わせることで、サイト間の比較分析と各サイト固有の深掘り分析の両方を実現できるダッシュボードが完成します。

ダッシュボードの共有と自動更新

Looker Studioの大きな魅力の一つは、作成したダッシュボードを組織内外の関係者と簡単に共有できる点にあります。完成したダッシュボードは、共有ボタンからアクセス権を設定し、閲覧専用や編集可能など権限レベルを細かく調整しながらURLで共有することができます。定期的なレポーティングが必要な場合は、ダッシュボードをPDF形式でエクスポートして配布することも可能です。さらに注目すべき点は、一度設定したデータソースからの情報が自動的に最新の状態に更新される仕組みです。これにより、毎週月曜日の朝に行われる定例ミーティングの直前にデータを手動で更新する必要もなく、常に最新の情報に基づいた意思決定が可能になります。また、特定の時点のデータスナップショットを残したい場合は、その時点でPDFやCSVとしてエクスポートしておくことで、時系列での変化も追跡できます。このように、Looker Studioは情報共有と自動更新の機能を通じて、データドリブンな組織文化の醸成をサポートします。

技術者視点でのLooker Studio活用のポイント

データ統合・加工の柔軟性

Looker Studioの真価は、単にデータを可視化するだけでなく、複数のデータソースを統合し、高度な前処理を施せる柔軟性にあります。技術者であれば、Googleスプレッドシートを中間層として活用することで、異なるソースからのデータを集約し、前処理や正規化を行ってから可視化するパイプラインを構築できます。より大規模なデータセットや複雑な処理が必要な場合は、BigQueryとの連携が強力な武器となります。SQLクエリを駆使して複数サイトのデータを結合し、集計や変換を施した上で、Looker Studioに取り込むことが可能です。また、Looker Studio内でもカスタムディメンションや計算フィールドを定義できるため、例えば「サイトAとサイトBの訪問者数の差分」や「前月比成長率」といった派生指標を作成することができます。これらの機能を組み合わせることで、単純なデータ表示にとどまらない、ビジネスインサイトを直接的に示す高度な分析ダッシュボードの構築が可能になります。技術者の知識と創造性を活かせば、Looker Studioは単なるレポーティングツールから、データを起点としたビジネス意思決定を支援する戦略的プラットフォームへと進化するのです。

SEO分析への応用

Looker Studioは特にSEO分析において、その真価を発揮します。Googleサーチコンソールとの緊密な連携により、複数のWebサイトの検索パフォーマンスを包括的かつ詳細に可視化することが可能です。検索クエリごとのインプレッション数、クリック数、平均CTR、平均掲載順位といった重要なSEO指標を、サイト横断で一元的に比較・分析できるため、どのサイトがどのキーワードで好調か、あるいは苦戦しているかを一目で把握できます。特に、複数のサイトで似通ったコンテンツを展開している場合、キーワードごとの競合状況や自社サイト間でのカニバリゼーション(共食い)の発生状況を詳細に分析できる点は非常に価値があります。さらに、GA4データと組み合わせることで、検索流入がもたらすユーザー行動やコンバージョンパスの違いをサイト間で比較することも可能になります。例えば、同じキーワードからの流入でも、サイトAではコンバージョン率が高く、サイトBでは直帰率が高いといった洞察を得られれば、UI/UXや情報設計の改善点を特定するヒントになります。このように、Looker Studioを活用したSEO分析は、単なる検索順位の追跡を超えて、サイト間のSEO戦略の最適化や資源配分の判断材料を提供してくれるのです。

無料で始められる導入コストの低さ

Looker Studioの特筆すべき利点として、導入障壁の低さが挙げられます。多くの高機能BIツールが高額な初期投資や月額サブスクリプションを必要とする中、Looker Studioは無料版でも驚くほど充実した機能セットを提供しています。利用開始に必要なのは、Googleアカウントのみという手軽さは、特にリソースに制約のあるスタートアップや中小企業、個人開発者にとって大きな魅力です。さらに、技術的な学習曲線も比較的緩やかで、SQLやプログラミングの知識がなくても直感的なドラッグ&ドロップ操作で基本的なダッシュボードを構築できます。もちろん、技術者であればカスタムSQLやデータ処理の知識を活かして、より高度な分析環境を構築することも可能です。また、スケーラビリティの面でも優れており、最初は小規模なデータセットから始めて、徐々に複雑なダッシュボードや大規模なデータソースへと拡張していくことができます。このように、Looker Studioは「まずは小さく始めて、必要に応じて成長させる」というアジャイルな分析環境の構築を可能にし、データ分析の民主化に大きく貢献しているのです。

まとめ:複数サイト管理・比較はLooker Studio無料版で効率化

複数サイトのデータを一元管理・比較したい技術者やマーケターにとって、Looker Studio無料版は強力な選択肢です。Googleアナリティクスやサーチコンソールなど主要なデータソースを無料で連携し、柔軟なダッシュボードで可視化・分析が可能です。SEOやWebマーケティングの現場で、ぜひ積極的に活用してみてください。

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